絲山秋子『妻の超然』を読みました

絲山秋子さんの『妻の超然』が新潮文庫から出てましたので、買って読みました。
絲山さんは、私の大好きな作家さんのうちのひとりです。

タイトルに「超然」という、正確な意味がわかるようなわからないような言葉が使われていますね。

ちなみに、Yahoo!辞書によれば、「超然」とは、

物事にこだわらず、平然としているさま。世俗に関与しないさま。

だそうです。
イメージですが、絲山さん自身はかなり超然としていそうな作家さんですね。

『妻の超然』は、同タイトルの物語を含む3編の中編小説で構成されています。

最初に収められているのが、「妻の超然」です。
妻の視点で、冷めてしまった結婚生活が語られます。
完全な一人称ですから、夫の文麿が浮気をしているに違いないと色々な物証を挙げながら疑ってはいるものの、客観的な事実は明らかにされません。

続いての「下戸の超然」は、代わってお酒が飲めない「僕」が主人公です。
お酒が飲めない人は飲み会で酔っ払った我々をこんなふうに見ているのかー、というのがよくわかります。
家で晩酌する人にも同様で、物語には毎晩のように酔っ払って陽気になったり悲観的になったりする恋人が登場しますが、
家でお酒を飲んで同じようなことをしているかもしれない私としては心が痛くて、しばらくお酒は飲めませんでした。。

最後の「作家の超然」は、何というべきでしょうか、絲山さんの自伝的とも言えるかもしれないしフィクションかもしれない、
文学界や物語、文章を書くことに対する警鐘とも言えるでしょうし、自らに自らのスタンスを訴えかけるような、不思議な内容でした。

文庫の解説では本書について、「実験的内容で、作家としての真骨頂である」というようなことが書かれていますが、
平易な文章でとても読みやすいので、堅苦しいことは考えずに、気になる方は手にとってみてください。
とても楽しく読みました。

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