約1000枚のCDを全てmp3化した後に処分してわかったメリットとデメリット

 CDを買って聴くのが趣味であり、人生最大の楽しみでした。
 ですが、それら約1000枚のCDたちは、意を決した私にほぼ全て処分され、今では跡形もありません。
 とはいえ、音楽を聴くことが嫌いになったわけではないので、それら楽曲たちはmp3として全てデータ化され、iTunesにて管理されています(AAC変換でm4aにしなかったのは、mp3のほうが汎用性が高いと思ったからです)。
 上記を実践してみて感じたメリット・デメリット、それに伴う感想などを挙げていきたいと思います。

■メリット

引越し時の梱包・運搬・開封のストレスから解放される

 最大の恩恵はこれです。転勤の多い会社に所属していたので、引っ越しの度に山ほどのCDをたくさんの段ボール箱に詰め、新居で開封し、また並べ直すということにウンザリしてしまったのが最大の要因です。
 CDとサヨナラしてからというもの、引っ越しが楽なこと楽なこと。実行して良かったと心から思えました。

ものが減ったので部屋を広く使える

 それまでは、CD置き場の設営に腐心し、そのスペースが多くを占めてしまっていたので、とても窮屈な部屋で生活していたように思います。
 ですが、そんな心配はもういらなくなりました。お陰で、広々と感じられ、無駄なものがなく、片付けやすい部屋を獲得することに成功しました。
 確かに、壁一面に並べられたコレクションを眺めたり、山ほどの好きな物に囲まれた生活も良かったですが、今となっては以前に戻ることは考えていません。
 従って、CDを買ったとしても、データ化した後にすぐにブックオフに持っていくようにしています。

CDの買い取りによってお金が手に入る

 大量のCDは、Amazonマーケットプレイスに出品、中古レコードショップであるディスクユニオンで買い取り、全く値段が付かなそうなどうでもいいものについてはブックオフで買い取り、と手段を講じて全て売却しました。恐らく総額で10万円くらいの値は付いたと思います。
 
 

■デメリット

 基本的に全てCDを売ってしまって良かったと思っていますが、ちょっと困ったことや不安もないわけではありません。

歌詞カードを読みたい

 何気なく歌詞を歌詞カードで読みたくなることがあります。ウェブで検索すれば歌詞は見つかることが多いのですが、歌詞カードで読むのとは何かが違う。
 恐らくその時、私は、歌詞を知りたいのではなく、歌詞を「読みたい」のでしょう。本のページを捲るように、文字から発せられる何かを感じたい。冊子の手触り、文字のひとつひとつ、アートワークを含めて。
 あるいは、洋楽の日本語訳を知りたいことも多く、それについても難儀します。まして詩なので、ウェブ翻訳では精度が低すぎるのです。

データの破損による楽曲紛失のリスク

 最大の懸念はこれです。CDを処分しようかしまいか悩んだのは、このためとも言っていい。全ての曲は小さなHDDに突っ込んであるので、もしそれが何らかの異常を示した場合、最悪、一瞬にして全ての音楽を失うことにもなりかねないのです。
 これまで長い年月をかけて積み上げてきたコレクションが、本当に些細なことで全て灰燼に帰す可能性は、どんな対策を施していたとしても、ゼロではないのです。

CDショップに足を運ぶことが少なくなった

 「もうCDなんて買わない」と決めたわけではないのですが、またCDを山のように増やす気はさらさらないので、あまりCDショップに行くことも少なくなってしまいました。もちろん、CDショップ自体の数が減っているということも一因でしょうけれども。
 これまで出会った曲やアルバムの中には、CDショップで、試聴してみたらすごく良かった、なんとなくジャケットに惹かれた、店員さんのおすすめコメントで興味が湧いた、というものも少なからずありました。
 それが今は、ウェブが代替を果たしているのでしょうが、自分の足でショップに通い、自分の手で確かめるというあの感覚が音楽における一期一会をもたらす重要な機会でもあったのだなとしみじみと思うわけです。

(私の中で)楽曲・アルバムの価値が下がった気がしてしまった

 かつて、レコードがCDに淘汰されつつあった頃、レコード派の人たちの中には、「針を置いて音楽が流れ出す、あの感じが醍醐味なんだ」という意見があったように思います。
 私はレコード世代ではなく、完全にCD世代なのですが、なんとなくわかる気がします。CDを開封し、歌詞カードを眺めつつ、プレーヤーに挿入して音楽が流れ出す、あの感じ。わくわくする感じ。
 今となっては、データ化され、iTunesによってインデックスされたものをクリックすれば音楽が流れる。
 大変便利であり、極めてスマートな方法であると思うし、そのように管理したことに後悔はないのですが、なんとなくアルバムと真摯に向き合う態度が薄められ、あくまでも私の価値観の中でですが、ひとつひとつの楽曲、一枚一枚のアルバムの価値が下がってしまったように思います。
 iTunesに取り込んだことに満足してしまって、殆ど聴かない曲も増えたような気がします。
 これは、あくまでも私の中での問題なのですが。

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